リース会社でー1 「事業は資金と人次第」を早期事故から学ぶ

リース業界へ

前回もお伝えしましたが、私は大学卒業後に銀行系リース会社に就職しました。業界の機能としては、法人向けファイナンス提供ということになりますが、金融機関と大きく違うところは、物を購入してファイナンスを付けることでした。ですから、①お客様自身②販売会社・メーカー③系列金融機関など、複数のルートへ営業をしながら、案件のお申し込みを頂いて日夜仕事をしていました。

マシンオイルの匂いと共に

最初の配属先は工作機械専門のリースを行うチームでした。今まで全く縁のない世界です。お客様の大半は中小企業で、メーカーや商社から紹介を受け、マシンオイルの匂い漂う工場事務所でオーナー社長からお話を伺う。帰宅したら靴の裏に切粉が刺さっていたことも・・・そんな仕事でした。

扱う物件は数百万から数千万・億単位の機械設備です。経営者にとっても大きな投資ですし、こちらもしっかりと案件に向き合わなければなりません。決算書を頂き、BS/PL/CFを分析する、投資の収支計画、業界と事業の見通し、経営者の人柄、会社と個人の余力などを総合的に検討し、審査をしていきます。

なかには、「うーん・・・」と唸りたくなるお客様もいます。「何とか通したい!でも、このままでは難しいーー」というパターンです。このような時は、もっと深くお聞きすることで何か追加できる材料がないか、一生懸命探します。

随分後ですが、苦労して審査を通したお客様から「あの時の投資が出来たから今があるよ。望月さん、本当にありがとう!」と言われた時は、「この仕事をしていて、よかった!」とうれしく思えたことを覚えています。

早期事故の苦い思い出と学び

営業ですから、数字は達成しなければならない。でも事故を起こしてはならない。このバランスの中で仕事をしていきます。しかし、キャリアを振り返ると残念な事故もありました。

一つは総菜小売店の独立案件。あるスーパーのテナントとして入居していた総菜屋さんがお客様です。厨房機器を販売している会社からの紹介で訪問。固定客もついているし、スーパーの撤退リスクもあるので、独立して店舗開業したいとのことでした。
現在の収支、掛け目を見た来客予想、単価、原価、調達、返済予定などをヒアリングし、詳細な収支計画とともに無事審査を通しましたが、ピッタリ1年で倒産しました。
原因は、隣にコンビニができたことでした。(当時はコンビニがここまで社会インフラになっていなかったのです)

もう一つは、訪問看護と介護の新規開業案件です。この業界に長く勤務する管理系マネージャーが、友人の看護師と共同代表で訪問看護と介護の事業を立ちあげるとのこと。こちらは、かなり詳細にマーケット調査を行い、空白地帯での開業であること、収支も見込めるだろうとの予測から審査OKとなりましたが、やはり1年で倒産。
原因は、共同経営者の不仲と喧嘩別れ、人員の離反でした。

はからずも、両方の経営者から「本当にすみません!」と電話でお聞きした声が忘れられません。

今思えば、スタートアップに対するベンチャー投資のようなものでしたから、取り組むこと自体に無理があったかもしれません。私自身も反省することしきりでした。

当たり前ですが、「資金が回らなければ会社は潰れる!」を実感しました。また「事業は人次第」「事業を継続していくためのリスク把握と備えの大切さ」も思い知らされました。

相手に共感しながらも、客観的な目線での判断力が求められることに気づかされた時代でした。