パーパス・ミッション・ビジョンの違いと中小企業の生存戦略

前々回のブログで理念の内容を以下に記載しました。

・パーパス=事業の目的
・ミッション=事業の社会的使命
・ビジョン=見たい理想の景色と姿
・バリュー=大切にしたい価値観と行動

他にも以下のような表現もあります。

・社是=会社の存在意義・経営のあり方
・社訓=社員が守るべき行動・判断基準

社是はパーパス・ミッション・ビジョンを含むことが多く、社訓はバリューに近いと言えます。このブログでは、パーパス・ミッション・ビジョンの違いと中小企業にとっての意味を掘り下げてみたいと思います。

パーパス・ミッションは、会社の目的= WHY?に応える言葉
なぜ私の会社は存在し事業を行なっているか、に応える言葉がパーパス・ミッションです。会社と事業の目的ですね。
会社や事業は、必ず誰かに、何かの価値を提供するために存在しているはずです。社会に存在する意義(パーパス)があるはずです。更には、社会課題に対して果たしたい使命(ミッション)もあるはずです。

人はお金のため、生きるために仕事をしていますが、報酬を得ることだけを目的に仕事をしているでしょうか? そうであれば、どんな仕事でもいい、極論を言えば犯罪でもいい、ということになりかねません。

ほとんどの方が、自分がしている仕事に対して、「誰かに貢献していることを実感したい」、「ありがとうと言われたい」と思っているはずです。他者への貢献と感謝・承認の欲求です。対になっている欲求ともいえます。

この欲求は働くモチベーションの中で、大きなウエイトをしめます。「仕事のやりがいの元」ともいえます。「経営に疲れた」「仕事が大変」と思わず愚痴をこぼしたくなる時に、「誰の何のために、自分は仕事しているんだっけ?」という問いに応える言葉でもあります。

経営者にとっては、経営という仕事をすること自体に対する動機を思い出し、社員にとっては、毎日の業務が誰かの何かに役立っていることを思いおこす言葉。それが、パーパスでありミッションです。
お手元に、該当する言葉はありますでしょうか?

ビジョンは、理想の未来像=Where?に応える言葉
事業の目的や使命、社会にとって存在する意義がパーパス・ミッションとすると、「見たい理想の未来像」がビジョンです。将来どのような光景を自分達で創りたいのか、見たいのか、ですね。

理想の状況なので、夢物語で結構です。簡単には到達できない状態で構いません。パーパス・ミッションは社会との関係性において自社と事業を定義することに対し、ビジョンは時間軸を大きく伸ばして、空想の羽を広げて、自社と事業を将来の見たい景色から再定義すること、とも言えるでしょう。

ビジョンが必要なのは、「なりたい未来像」が人と組織にとって必要だからです。前回のブログでもお伝えしましたが、「未来から遡って今どうする?」の発想は、ビジョンが無ければ生まれません。ビジョンが無い会社は、「今の延長線の未来」「あるがままの未来」を歩んでいくことになります。

言葉を変えれば、「バックキャストで今と今後を考えられるか?」ということです。
会社の目標・戦略・計画を未来から遡ってたてるのか、今の延長線上でたてるのか、という起点の選択にも関わってきますね。

ここはとても大切なところで、具体的な会社の施策に大きく関わってきます。

ビジョン⇒目標⇒戦略・計画と進む場合には、ビジョン起点の施策(新規事業の創造、人への投資など、大切だが日常業務の中では後送りにしがちな施策)が、会社施策の中に含まれるはずです。なぜなら、「長い時間がかかっても、見たい未来を実現するために必ず必要な施策」だからです。

また、人は行動を起こすための動機に、「物語」を知らず知らずに求めます。
「苦労しながら作り上げた〇〇」「購入することが○○につながる」「〇〇にはこんな背景があった」・・・。
このようはストーリーがある場合とない場合を想像してみてください。ストーリーがある方が心を惹かれ、何かのアクションをしたくなりますよね。

我々は「何かをするための理由付け」が必要な生き物なのだと思います。本能によってのみ生きているわけではありません。
その意味では、苦しい時でも頑張れる理想の未来=ビジョンがあれば、「もうひと踏ん張りしよう!」という気になるでしょうし、会社の今後に迷ったら、「〇〇になりたかった。だからこうしよう!」という、「目指すために大切なこと」に戻ることができるのではないでしょうか。

生存戦略になるー 中小企業こそ、パーパス・ミッション・ビジョンを考えたい
大手企業にあって中小企業にないものが存在します。
知名度、提供する製品やサービスの多さ、展開できる地域の広さ、多様な社員と採用の優位性、社員の高待遇・・・。これらは、一朝一夕では中小企業は確保できません。
では、どこで勝負していくか?

私は、「共感性」だと思います。何に対する共感性?と問われれば、「経営者の人となり、考え方への共感性」と言えるのではないでしょうか。

中小企業の町工場で下請け加工をしていた会社が、消費者向けの新製品を開発・販売し、成功している会社がいくつかあります。たどり着くまでには、時間も資金もかかったでしょう。社員の理解と協力も不可欠だったでしょう。
でも出来た。そして、消費者が買う理由は何でしょう?

会社から見ればビジョン起点の仕事をした、というころでしょう。今のままで良ければ、品質、コスト、適性物流の欲求に応え続ける道を歩んでいたはずです。

「これだけでいいのか?」「私たちが本当にしたいことは何?」「見たい光景は何?」という問いから、新製品開発への一歩が始まったのではないでしょうか。
そして、消費者は、そのストーリーに共感して製品に手を伸ばすのではないでしょうか。

採用もそうです。待遇や福利厚生の良さだけなら、学生は全員大手を希望するはずです。
でも、そうなっていない理由は何か?敢えて中小企業やスタートアップを希望する学生がいるのはなぜでしょうか。

それは「会社のパーパス・ミッション・ビジョンなどの理念に共感して、自分の未来を重ねることができたから」といえるでしょう。この会社なら、自分がいて、こんな風に仕事をしている、こんな光景が見られると想像できたから採用に応募した。
いかがでしょうか?

共通するのは「共感できるか、どうか」だと思います。そして、共感してもらうには、まず経営者の志(こころざし)や想いを言葉にしなければいけません。なんとなく心の中にあることも、言葉にして可視化しないと、誰にも伝わりません。共感も始まりません。

社員や求職者と多く接することができる中小企業の経営者には、自らの想いを直接伝えるチャンスが多々あります。貴社ならではの理念を一人でも多くの人の心に伝え、共感者を増やすことが、結果として大企業と同じ土俵で戦わない、中小企業の生存戦略になっていくと思います。

次回はバリューについて考えてみたいと思います。

続きは、こちらから


追記:とはいえ、パーパス・ミッション・ビジョンの言語化は時間もかかります。一人では、どうしてもそのままにしがちです。言語化の方法も様々です。
そんな時は、気軽にお問い合わせください。共に悩み、言葉にするお手伝いが出来ればと思います。