バリューの運用 評価にどう生かすか

前回はバリューの作り方についてお伝えしました。
今回はバリューの運用方法について考えたいと思います。

バリューを評価項目にする
中小企業の経営者にとって昇進・昇給させたい部下は、どのような人でしょうか?
実績を上げている人、自分に持っていないもの持っている人、自分に意見を言える人、部下の面倒見がいい人・・
色々思い浮かびますが、どのような側面で人を評価するか整理すると、「実績と考え方・行動」の二つの側面に行き着くのではないでしょうか。

バリューは、「全社員が共有する理想の考え方・行動」でした。御社なりのパーパス・ミッションや、ビジョンを実現するための手段を示したものでした。

社員がバリューを体現する考え方や行動を日々実践していれば、会社は目指すビジョンに近づいていくはずです。しかし、バリューに沿った行動をしていこうという真面目な社員と、無視をする社員、変わろうとしない社員がいることを忘れてはいけません。

バリューの運用をしないで作っただけであれば、努力しても評価されない、報われない、正直者が損をする文化が会社に根付くことになります。

最悪なのは「やったもん負けの文化」になっていくことです。積極的に動くことがマイナスに作用するようになると、大企業病にかかったのも同然です。日常の延長線での仕事しかしない社員達になってしまいます。

防止するには、バリューを評価項目にしていく必要があります。バリューを体現する社員と無視する社員は、評価で差をつけるのです。
同時に、バリューを期初の個人目標に組み込みんで、どの項目を頑張るのか、どこまで目指すかを、上司・部下間で合意していく必要があります。

上司は、バリューが良く体現された素晴らしい言動や、もう一歩の言動をメモしておいて、その都度部下にフィードバックをする。時間がなければ、最低でも半年に1度は部下と面談し、バリューの実施状況についてフランクに対話をする。

このような時間を作り、根気よくバリューの運用をしていくことで、少しづつ社員の行動が変わり、実績に結びついていくと思います。

もちろん、経営者自身がバリューに沿った行動を率先垂範していることが前提です。
「俺は知らないが、お前たちはこうしろ!」では社員はついてきません。経営者自身が、「自分はどうか?」「社員からどう見えているか?」を日々振り変える必要があります。

実績×バリューをどう考えるか? GEの事例
では、「実績は素晴らしいが、バリューを体現出来ていない人」「バリューに沿った行動をしているが、実績は今一歩の人」がいるとします。 あなたは、どちらを評価するしょうか?
私が15年間在職したGEの事例が参考になるかもしれませんので、お伝えします。(個人的な見解ですので、ご了承ください)

バリューは在籍期間を通じて5回変わりました。入社当時は、強いリーダーシップ(4E)やシックスシグマを品質改善活動として全社で実行していくことなどが求められ、最終的にはスタートアップ的なスピード感を持って行動していく社員像に変化していったと思います。

バリューの定義は4階層(新人・一般社員・リーダー・幹部役員)で分かれていました。同じ行動でも階層毎に求めるレベルが違っていました。評価は3段階(要改善・達成・期待を上回る)でした。

評価は実績×バリューの発揮度です。理想は両方優れている人で、トップ2割・中間7割・両方とも×が1割程度の比率で、社員を相対的に評価していました。
特長的なのは、実績は賞与で評価するが単年度の評価であること、バリューが伴わない人は昇進しないことでしょうか。

実績は外部環境によって影響されるのでコントロールできない部分があるが、バリューは自分自身で決断して行動していくので、その人自身でコントロールできるはず、という発想が元にあります。

この評価を毎年くり返していくと、いつのまにか周りにはバリューに沿った行動をしていく社員が増えてきます。合わない人は転職されていくように見えました。 結果として、会社の考え方に共感する人しか残らない仕組みだったと思います。

中小企業のバリュー評価で考えたいこと
ただ、この相対評価を今の中小企業にそのまま当てはめるのは危険です。
GEの場合はそれなりの企業ブランドがありましたので、中途採用も比較的スムーズにできていたのです。バリューに合わない方が辞めても、補充はいつでもできるという構図だったと思います。

時代環境も変わりました。どの会社も採用で苦労しています。特に中小企業では「社員が辞めたら困る」という経営者も多いでしょう。

だからといって、結果さえ出していれば社員は評価されるのか、社歴が長いだけで評価されるのかは再考するべきです。
でないと、真面目に頑張っている社員や社歴が浅くても結果を出している社員に報いてあげることができません。

その時に、バリューを評価項目としてどう使うか、考えてみてください。社員全員を相対評価する必要はありません。その社員にとって、昨年より出来るようになった行動や、努力して変わってきた姿勢をバリューに沿って見つけてあげてください。

バリューを意識して変わろうとしている社員や、実際に行動で示している社員には、しっかり報いてあげること。実績の評価も、何を基準に、どこで報いるか明確にすること。

この2つの規準と評価方法を経営者が社員に事前に示して実践していくことが、ビジョンで示した理想の会社に近づいていく方法だと思います。

次回はバリューを含む理念の自分ごと化についてお伝えします。



追記:from Willではバリュー策定と運用面での支援をしています。
人事評価にどこまで反映させるか、運用面で注意する点は何かなど、疑問点がありましたら気軽にお問い合わせください。
共に考えるお手伝いが出来ればと思います。