理念の浸透 社員の自分ごと化のために

今まで理念の意義や構造、作り方についてお伝えしてきました。
しかし、せっかく作った理念も社員が実践するためには「理念の自分ごと化」が必要です。
今回は理念を社員にどう浸透させていくかについて考えます。

経営者が理念の必要性を再認識する
改めてお伝えしますが、経営者自身が日々の経営マネジメントに理念がどう結びつくか、心から理解していなければ、社内への浸透はスタートできません。

自分が腹落ちしていないことを他人に伝えることは説得力に欠けますし、社員は経営者が本気でないことをすぐに見抜きます。 改めて理念の意義を整理したいと思います。

①理念は会社の軸
会社の存在意義・事業目的から理想の未来像、実現手段としての価値観・行動規範の共有まで、理念の各項目は一貫した考え方のプロセス上に並んでいます。
理念は経営者も社員も悩んだり、迷ったりしたときに戻る場所であり、判断の規準でもありました。

上位概念が変われば、行動規範まで変わります。その会社ならではの個性も出ます。
「わが社は、こういう考え方だからこう行動する!」と一本筋が通っていることを、まずは経営者が再認識していただきたいと思います。

②理念は戦略・計画・目標の原点
抽象的に感じる理念ですが、そのままでは何の意味もなしえません。経営戦略・計画・目標という具体的な行動や資源の配分、方針や施策に落とし込まなければ、単なるお題目で終わってしまいます。

会社の目的やビションが先にありきです。手段としての戦略・計画・目標ですので、ここを間違えてはいけません。
どのような時間軸で、誰に何をどうするか。原点は理念だったことを思い出して下さい。

会社経営の場合は、必ず顧客がいて、提供する商品やサービスがあり、提供するための組織や人がいます。それぞれ、どのような方針で臨むかも理念が原点であるはずです。

目的地があるから、地図でルートを考え、上手く進む方法を考えるわけです。目的地が変われば、ルートも装備も、どう行くかも変わってきます。
この点も再認識頂ければと思います。


社内浸透のためにー1 経営者が語り、伝え続ける
根気がいりますが、経営者が理念について語り、社員に直接伝え続けることが、一番の基本です。

理念は経営者自身の仕事をする起点であり、モチベーションの元になっているはずです。朝礼、会議の冒頭、経営計画発表会、社内報、懇親の場など、あらゆる場面で理念を語る場を作ってください。

すべてを語る必要はありません。短いフレーズでいいので、繰り返し社員に伝えることで理念が自分ごとになっていくはずです。

社内浸透のためにー2 評価に活かす
バリューは、評価の対象にするべきです。やってもやらなくても同じ、という悪平等の状況にしてはいけません。目指す行動を示している社員には、きちんと評価をしてやってください。

ただし、細かく点数化などをする必要はありません。かえって運用が難しくなりますし、評価する側も、される側も疲弊してきます。

最初はバリューに沿った行動をしている社員を見つけ、加点方式で認める。明らかに逸脱している社員に気づき与え、自ら考えてもらう。この程度からのスタートでいいと思います。少しずつですが、徐々に社員の行動に変化が現れ、結果に結びついていくはずです。

社内浸透のためにー3 いつでも見えるようにする
カード、小冊子の作成や、PCの画面設定、社内掲示など、会社にいる時、いつでも理念を見えるようにする工夫も必要です。

日々の業務中でも社員は判断に迷う時があります。「あれ?こういう時どう考えればいいんだっけ?」という疑問が発生します。その答えになるのが、理念です。迷ったら戻る場所が手元にあるように、工夫をしてみてください。

社内浸透のためにー4 対話の場を設ける
社員にとって、理念は「経営者からおちてきた抽象的な言葉」と捉えがちです。立場が違いますので、必要性も意義も最初はわからない方が多いと思います。

解消のためには、社員との対話の場を作ることをお薦めします。朝礼や会議の前後に時間を設定してもいいですし、グループ対話会を設けてもいいと思います。

最初は、経営者が参加して開催しますが、徐々に社員同士で話す場にしていってください。正解を出すのではなく、「こう感じた」「受けとめた」という感想を交換し合うだけで結構です。

徐々に「どういう行動が望ましいの?」「こう行動してみたけど、正しかった?」など、理念が日常の行動に結びつていくようになると、自分自身を振り返るようになります。周りを見ながら、「自分もやってみよう」と思うようになります。

少々の慣れは必要ですが、社員が交代で会を進行していけるようになることが理想です。社員同士安心して語り合う場ができれば、より深く理念の意義と効果を理解できると思います。

社内浸透のためにー5 認めて称賛しあう仕組をつくる
バリューは、素晴らしい行動をした社員を社員同士で認め、称賛する仕組みをつくることも有効です。朝礼や社内ネットワークでの紹介と賞賛、ちょっとした賞品の提供などを検討してみてください。

社員同士でプラス評価を共有することになりますので、小さな行動でも見つけ合い、拾い合うことができるようになります。結果として、お互いの自己肯定感が上がっていきますので、実践することが苦にならなくなります。

少しずつ実践する社員が増え、最終的には全社員が実践するようになっていくことが目標ですね。

以上、理念の浸透方法についてお伝えしました。

次回は理念の事例をお伝えしつつ、全体を振り返りたいと思います。



追記:from Willでは理念策定と運用面での支援をしています。
理念の明確化や社員へ浸透させるプロセスなどで、何かお聞きになりたいことがありましたら
気軽にお問い合わせください。
共に考えるお手伝いが出来ればと思います。