理念の作り方 ビジョン

今回はビジョンの作り方について述べていきます。

ビジョンは誰が作るかー パーパス・ミッションとの違い
前回のブログでパーパス・ミッションは経営者の内省から始まるとお伝えしました。

パーパス・ミッションは創業の原点に戻り、会社と社会の関りを再定義することですから、創業社長であれば自身の経験と想いを振り返って頂きたいですし、二代目以降の経営者であれば、社史や親世代から原点を確認し、追体験するところから始めて欲しいと思ったからです。

ビジョンは会社の理想の未来像であり、見たい景色です。では、この未来像と景色は誰が見たいのでしょうか。

そうです。経営者を含む社員全員が見たい未来像であり、景色です。
社員全員で共有したい景色を言葉にしていくのですから、できれば全員で考えていくことが理想です。

理想の未来といっても、捉え方は人それぞれです。何にフォーカスするか、どの時点での未来なのか、誰の目線での景色なのかも違います。違うからこそ、皆で意見を出し合い、合意できる未来像をまとめていく。このプロセス自体が、非常に意味を持ちます。

与えられたビジョンではなく、自分達で作ったビジョンですから、ワクワクや希望が自分ごととして捉えられます。当事者意識が持てますし、腹落ちもしやすい。理想の未来を鮮明な画像として共有しやすくなるのです。

現実的な進め方と注意点
とはいえ、業種や会社の状況から全員参加でビジョンを作ることは簡単ではありません。社員全員が集まること自体、困難な会社も多いと思います。

現実的には以下のようにしていきます。

①社員アンケートを取る
「理想の会社ってどんな会社?」「お客様はどうなっていたら幸せを感じる?」などの問いかけと、キーワードの記入・選択のアンケートを取ります。長い文章は必要ありません。キーワードを通じた社員の傾向を確認してください。

②選抜チームをつくる
中堅・若手社員や、年齢問わず仕事に前向きな方を中心に策定チームを立ち上げます。複数の話し合い、セッションを通じて、キーワードや文章フレーズを抽出してもらいます。

③なぜ作るか? 意義を明確に伝える
アンケートや選抜メンバーでの話し合い実施の案内があると、社員は経営者の意図を先回りして憶測しがちです。「分かったけど、実際社長はどう考えているの?」「出しても意味あるの?」・・ですね。

やらされ感をなくし、自分たちにとって作るとどうなるか?という疑問に答えるためにも、作る意義と目的を明確にしなければなりません。でなければ、社員は本気で考えようとしません。

ビジョンは、バックキャストで経営戦略や計画、施策を検討する起点になることを思い出して頂き、「誰の何のために?」を明らかにしてください。自分たちの業務にどう関わるか、きちんと伝えることがポイントです。

④作るプロセスも明確にしておく
作るプロセスも事前に明らかにするべきでしょう。「皆でつくったけど、結局どうなったの?」と社員に思われてはいけません。案は出させたけど、そのまま放置することは最悪のパターンです。

経営者からのたたき台出し⇒社員の検討と追加キーワードの抽出⇒経営者の決定でも結構ですし、社員チームから検討開始・提案⇒経営者による添削⇒再度社員チームによる検討・提案⇒経営者の決定でも結構です。

自分達のビジョンだと思えるように、当事者意識を持って策定できる進め方を心掛けたいところです。

ビジョンの策定方法
代表的な策定方法は以下のとおりです。

①制約なしの広い未来像から自分達へ
目の前の業務から一旦離れて、100%制約なしで理想の未来像を語り合います。目をつぶり、見えてくる光景を書きだします。広い視野を眺め、遠くから近くへ、近くから遠くへ、どちらからでも構いません。見える景色を言葉にしてみましょう。地球や世界レベルでもOK。段々地域や顧客に寄せていけばいいのです。
で、その時私たちはどうなっているのか?が最終的に出てくればOKです。

②会社の強みや良さを伸ばして未来をつくる
今の会社の強み、特色は何か、もっと強くして、特色を発揮していくと、自分たちと回りはどうなっていくか?
会社のいいところを伸ばした先にある未来を言葉にします。

③「未来のある日」を具体化する
「未来新聞」を作り、そのときの社会、わが社、わが社の製品やサービスで提供できたことを、記者になりきって書きだします。わが社と関わることで、未来の人はどうなったか、書きだします。

「未来日記」も作ってみましょう。その時自分はどうしているか、どのような心持ちで過ごしているかを想像して、言葉にしてみます。
ポジティブな記事であることが大前提です。書くことを通じて、理想の未来が鮮明になってくるはずです。

④外部環境の変化をとりこむ
PEST分析という言葉があります。Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)の4つの切り口で市場を分析しようというマーケティングのフレームワークです。

この4つの側面で今と未来を言葉にしていきます。もちろん地球環境や自然など他の切り口でも構いません。
外部の環境がどう変わっていくかを予想して、そこから未来を描いてみます。会社や社員がどう関わり、変わっていくかを想像していくことになりますね。

進行役はどうするか
ビジョン策定にあたっての準備や方法もイメージできた。では、中小企業において、誰がリードして進めるかについて考えます。

経営者が進行役になる場合もありますが、社員はなかなか本音で語れないものです。立場の違いがありますので、よほど普段からフランクに社員と接する経営者でなければ、社員は安心・安全な場として自由に発言するのは難しいでしょう。
ビジョンは理想の未来像ですから、制約なしで自由に語れる場を作りたいところです。

理想は、未来に前向きな幹部役員や社員が進行役になることです。
経営者の意向をくみ取り、事前に着地点を打ち合わせして、中立的に進行できればベストですね。

そのような方が見当たらない場合は、外部のファシリテーターに依頼するべきでしょう。
専門家の進行を体験することで、「次は自分でやりたい!」という社員が出てくれば更にいいことです。アウトプットを得ると同時に、皆の意見を合意にもっていくプロセスを学ぶことになりますので、育成の効果も期待できますね。

理念の中でも、ビジョンの有無は会社のかじ取りに大きく関わります。
是非策定にトライして頂きたいと思います。

次回はバリューの作り方について考えてみます。

続きは、こちらから

追記:from Willではビジョン策定のお手伝いをしています。
経営者の壁打ち役や、チームのファシリテーターとしてビジョン策定を支援しています。疑問点や気になる点などがありましたら、気軽にお問い合わせください。
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