理念の作り方 パーパス・ミッション
今回は理念の内、パーパス・ミッションの作り方について述べたいと思います。
パーパス・ミッションは経営者の内省から
会社の存在意義や社会的使命を示すパーパス・ミッションは、経営者が自身で内省するところから策定が始まります。
企業は、誰かの、何かに役に立ち、対価を得ることで継続しているはずです。「誰の何に役立っているか」「何のために存在しているのか」は企業経営の起点ですので、まずは経営者自身が内省するところから始めて頂ければと思います。
以下、策定する際のポイントを上げてみます。
①内省する時間と場所をつくること
中小企業の場合、どうしても経営者が実務を兼ねる部分が多く、多忙です。理念は無くても会社は回ります。抽象的ですし、作る意味もついつい忘れがちです。(なぜ作るか?は、過去の記事をご参照ください)
しかし、理念の明確化は経営をしていくプロセスで、必ず、どこかで考えなければならないことです。大切だけど緊急性がないことは、いつまでも後送りしていいのか、よくよく自問して頂き、実務から離れてじっくり考える時間と場所を確保してください。
②自分の経験から考える
創業社長であれば、起業の元になった想いが必ずあります。ビジネスとして成り立つから起業したと思いますが、それだけではないはずです。
創業の原点に戻って、起業に至った経緯を振り返ってみてはどうでしょう。
おそらく目の前に困っている人や、何かを求めている人がいた、もしくは、そういう人たちが想像できたから起業したのだと思います。何かを提供したいと思ったはずです。
その経験や想像した風景、その時感じた想いを言葉にしてみてください。「〇〇な人に〇〇を提供したい」「〇〇な人が〇〇になって欲しい」などと書きだせれば、会社の存在意義や社会的使命が見えてくると思います。
③創業者の想いと背景を追体験する
二代目以降の経営者であれば、創業者の経験や想い、時代の状況や当時の環境を想像し、心の中で追体験することをお薦めします。創業者になったつもりで、どのような人と光景が広がっているのか、想像してみることです。
もちろん先代に直接お聞きするのが一番の早道です。なぜこの理念になったのか直接聞いてみれば、より鮮明になりますね。
直接お聞きする方がいない場合は、他の親世代の方や古参の社員、取引歴の長いお客様などに、理念が作られた経緯をお聞きするのも一つの手です。社史や創業者の日記などがあれば、そこから想像することもできます。
業歴の長い会社ほど、「今とは合わないな」「違うな」と思われるはずですが、創業者の根っこにあった「想い」は何か、考えてみましょう。
時代環境が変わっても、人として変わらない部分があると思います。言葉を変えれば、会社が追い求める「道」(=終わりは無いがずっと追い求め続けること)があるのではないでしょうか。
その言葉を抽出してみてください。
それこそが御社にとってのコア理念だと思います。
④今の状況と今後から見直す
競合他社は誰にどのような価値を提供しているのか?
今後世界や市場はどうなるのか?
我々はどの道を進むのか?
これらから、パーパス・ミッションを再考するのもありです。②③が過去からの理念抽出に対し、今を見渡し、未来から遡ってパーパス・ミッションを抽出する。時間軸を変えて、理念を再定義することになります。
但し、今しか通用しない会社の理念を作ることはお勧めしません。「条件が変わったらまた変わるのでは?」と回りから思われるような言葉になってしまいます。
作っても、心の底から共感できなければ、人は行動を起こしません。耳障りはいいが自分ごとに感じない、それらしい言葉にならないことが必要です。
⑤シンプルであり誰もが共感できること
パーパス・ミッションに加え、ビジョンも抽象度が高くなるほど、時代や環境変化に耐えうる理念になります。分かりやすい例が、「社員とその家族、取引先や地域の方全てを幸せにする」のような理念ですね。
このような理念は抽象度が高い分、普遍的であり、時代が経過しても変える必要性は薄いでしょう。異論をはさむ方も少ないと思います。
さじ加減が悩ましいところですが、特に最上位のパーパスやミッションは、分かりやすくシンプルで、だれもが共感できる言葉であるべきです。
ここで共感できなければ、社員が働く目的もバラバラになりますし、顧客から貴社を指名する土台を作ることができません。ひとりよがりになっていないか、関係する全ての方が共感いただけそうか、チェックして頂きたいと思います。
⑥拙速に作らないー セルフチェックをしっかりする
理念策定においては、シンプルな言葉を紡ぎ出す方が難しいです。時間もかかります。ともすれば、AIに候補を出させて、ささっと作りたくもなります。
でも思い出して頂きたいのは、理念は自身のモチベーションの元になる言葉でもある、ということです。
事業が苦しい時、迷う時に戻る言葉です。鏡の前で自問自答するための言葉でもあります。もちろん経営者自身がそらんじて言えなければ、社員や取引先にも心から伝えることはできません。
1つ考えて頂きたいのは、「人として正しい理念だろうか?」ということです。理念を考えるということは、他者との関りにおいて、「どう生きたいのか?」と自分に問う行為です。
じれったいし、苦しいかもしれませんが、作っては少し置き、見直しては少し置く、を繰り返してみてください。どこかで、「これだ!」という言葉、自分で腹落ちできる言葉に出会えるはずです。
幹部役員や社員にテストで見せるにも一案です。「よく分からない」「何を言いたいか分からない」というのであれば、もう一度見直す必要もありますね。
時間をかけ、自他のチェックを経た分、自分の言葉になるはずです。作るプロセスを大切にして、粘り強く考えてみてください。
次回はビジョンとバリューの作り方を考えてみたいと思います。
追記:from Willでは理念策定のお手伝いをしています。
ご自身だけでは言葉がうまく出てこない、引き出して欲しい、アドバイスが欲しいなどありましたら、気軽にお問い合わせください。
共に考えるお手伝いが出来ればと思います。

