理念は、なぜ会社経営の起点で軸なのか

前回は経営者にとっての理念の意味と必要性について述べました。今回は会社にとっての理念の意義を考えてみたいと思います。

理念の有無と経営計画・戦略
6月は株主総会の時期でした。どの会社も先期の決算報告書ができて、今期や来期以降の計画や戦略を立てられていると思います。
この経営計画ですが、皆さんはどのように立てられているでしょうか。

先期このくらいだったから積み上げてこのくらい、市場とお客様の動向がこうだからこのくらい・・・。ここが弱かった、ここに問題があったから来期はこれをする・・。
足元の状況に基づく目標も現実的には必要でしょう。しかし、「将来は〇〇になりたい」という明確なビジョンを掲げている会社と、無い会社を想像してみてください。

ビジョンがある会社は「将来こうなりたいから今はこうする」と未来から逆算した計画や戦略を立てるはずです。一方ビジョンが無い会社は、「今がこうだから来年こうしよう」という現状の延長線での計画や戦略を立てていきます。この違いは何でしょうか?

ビジョンがある会社と無い会社
ビジョンが明確な会社は、長期の時間軸で見た「ありたい姿」が明確です。そうすると、当然現在とはギャップが生じます。ビジョンとは理想の未来像ですから、当たり前ですよね。
このギャップを埋めるものが「課題」です。あるべき未来に向けて、どのように行動をするべきかを言葉にしたものが課題ですから、ビジョンから逆算したギャップがあるかこそ、課題と今するべき行動が見えてきます。

分かりやすい例が、人材の育成です。例えば「社員全員が働く幸せを感じる会社になろう!」というビジョンを掲げている会社があったとします。ビジョンに基づく施策を考えようと思ったら、経営者は何をするでしょうか。

働きがいを感じるように部下と定期的に面談しよう、困った時にはお互いに相談しあえる関係性をつくろう、キャリアアップを感じてもらえるように教育のメニューを考えよう、長く働き続けてもらえるよう職場環境を良くしよう・・・。こんなことを考えないでしょうか。

では、ビジョンが無い会社を見てみましょう。上記に例示した施策は目先の計画に盛り込まれるでしょうか?

人材育成はすぐに効果がでません。コストも時間もかかります。職場の関係性も環境も少々目をつぶれば、業務ができないことはありません。だから目先の問題を潰し、仕事を回していくことを優先してしまう。計画や戦略も「今こなすため」のものになりがちで、育成の視線や施策はどうしても後送りなるのではないでしょうか。

事業も同じです。目指す未来に向けて、限られた資源をどこにどれだけ振り向けるのか、どのようなスパンで事業やお客様を開拓するのか、何を続けて何をやめるのか・・。
自社の事業モデルや提供価値をビジョン目線で検証し、逆算して今の行動に結びつけれるか否かは、会社の将来に大きく関わってくると思います。
人材育成も事業も、ビジョンから逆算した必要な施策を今打てるかが、ポイントですね。

理想と現実から今を考え、選ぶ
まずは、「なりたい未来」から逆算して今を生きる会社と、「今の延長線での未来」を続けている会社との違いを意識することだと思います。
どちらか一方に寄せればいいというものではありません。ビジョンという夢に向かう明るいアクションプランの立案・実施と、現実の問題を潰すという泥臭い対応を両立させなければなりません。

このさじ加減と、何をどこまでするかを決めるのは経営者です。
決定したことが会社を動かしていきます。
だからビジョンを含む理念が、経営の起点であり、判断の基準になります。迷ったら戻ってくる軸ですし、経営者自身の心のよりどころになると思います。

中小企業の経営者の場合、どうしても目先の業務をこなすことに精一杯で、近視眼的な経営になりがちです。なかなかじっくり考える時間も取りにくいと思いますが、敢えて、理念についてもう一度考えてみて下さればと思います。

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追記:
日常とは違う視野、視座で理念やビジョンを考えるために、第三者との対話の時間をつくることも一案です。うまく活用されているお客様もいますので、気軽にお問い合わせください。